大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)2557号 判決

よつて右袋地となつた後その土地の所有権を取得した控訴人がその主張のように同番地の一〇の被控訴人所有地に通行権があるかどうかについて考える。袋地又はこれに準ずる土地を所有する者のいわゆる囲繞地通行権に関する民法第二百十条の規定は、袋地又は準袋地を生じたことが分割又は土地の一部譲渡というような爾後の人為的行為によらない場合に限つて適用されるものと解するのが妥当である。このことは右のような爾後の人為的行為によつて袋地又準袋地を生じた場合について、特別の規定(同法第二百十三条)が設けられていることに照して明かである。そうして袋地又は準袋地の囲繞地通行権は袋地又は準袋地の所有権に附隨する物権的権利であるから、同法第二百十三条の規定の適用によつて土地の分割者又は譲渡の当事者の所有地以外の囲繞地について通行権を有しない右袋地又は準袋地の所有者に承継があつても、その承継人において新に同法第二百十条の規定による通行権を取得することはないものと解するのが相当である。そこで本件について考えて見ると、控訴人所有の前記二、六五六番地の一一と同番地の二の土地は、もと一筆の土地で公道に通じていたものであつたが、その所有者である訴外小林澄子において昭和二十五年十一月二十八日右二筆の土地に分筆し、同番地の二の土地を訴外久村慶三に譲渡したため、同番地の一一が始めて袋地になつたものであるというのであるから、右袋地の所有者である小林澄子は民法第二百十三条の適用によつて同番地の二の土地に対する通行権を取得するに至つたもので、他の囲繞地である被控訴人所有の同番地の一〇の土地については通行権はないものといわなければならない。従つて右澄子の相続人から右袋地を買い受けた控訴人もまた同番地の二の土地に対する通行権を承継取得したことは格別として、被控訴人所有の同番地の一〇の土地に対しては新に通行権を取得するいわれのないことは前説示に徴して明かであるから、控訴人の右主張は採用しがたい。

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